皆様、毎日のお仕事や日々の農作業、本当にお疲れ様です。
前回は、資金繰り表の全体像と構成についてサンプルを見ていただきました。今回は、実際に通帳を手元に用意していただき、我が家の「資金繰り表」を作成するための具体的な手順について解説していきます。
前回の復習になる部分もありますが、大きく6つのステップに分けて順を追って確認していきましょう(※今回は、前回とは少し項目をカスタマイズした別の事例表を用いて解説します)。
STEP1 預金残高を入れる
まずは、昨年の12月末の通帳残高を表の「1月の期首残高」に入力します。ここに入れる金額は、普段仕事で使っているJAや地銀、ゆうちょなど、すべての通帳の合計残高です。明らかに仕事と分けて使っている個人の通帳などは除外しても構いません。
会計ソフトを使用している場合は、ソフトに登録している残高を入力すれば大丈夫です。
STEP2 収入を入れる
次に昨年の通帳を用意し、月ごとに入金された金額を参考に、本年入ってくる予定の金額を入れていきます。
まずは、農作物の売上(入金)を入れます。品目ごとに行を分けて細かく管理しても良いですし、合計金額のみでも構いません。そのほか、補助金や交付金、JAや資材屋さんの還元金、消費税の還付、家賃収入、作業受託収入、地代収入なども、入金予定の月に入力します。
STEP3 支出項目を入れる(事業収支を出す)
収入と同じく、前年の通帳の出金明細を見ながら、月ごとの出費予測を入力していきます。
下図のサンプルでは、支出項目を「農業関係の経費」「税金」「生活」「年金保険教育」「自動車」などに区分してから、詳細な項目を作っています。このように出金明細を区分で分けておくと、後から見返したときに分かりやすくなります。
前回の資金繰り表サンプルでは、農業の経費科目を細かく作成し、家計費は「事業主貸」という1行にまとめていました。例えば、家計簿を別でしっかり管理している方は、前回のように家計費の合計を「事業主貸」として1行だけ入れて資金繰り表を作成しても問題ありません。
一方で、今回の図のように「農業経費」と「家計費」を一つの表にまとめて管理するやり方もあります。資金繰り表の項目は、ご自身が気になる経費や管理したい支出に合わせて、自由にカスタマイズして作ってみてください。(※ただし、これはあくまで「お金の出入りを把握するため」の表です。税務申告の際は、生活費は必要経費にはなりませんので区別して考えてください。)
支出項目の最後の行にある「経常利益(この表では、生活費なども含めた資金繰り上の通常収支を表します)」は、当月の事業収支を表します。STEP2の収入の合計から、STEP3の支出の合計を差し引いた差額が自動で出るように計算式を入れておきましょう。
農業の場合、筆者が住んでいる東北では夏から秋にかけて収入が増えるため、この「経常利益」はプラスになりますが、冬場は赤字が続きます。一方、高知県の園芸農家さんの場合は冬から春にかけてプラスになり、夏場は作物の入れ替えなどで収入がないため赤字になることが多いかと思います。我が家の農家経営が「何月にどのくらいの赤字(または黒字)になるか?」を、具体的な数字で把握することが重要です。
STEP4 投資を入れる
次に、将来に向けた投資の出金予定を入れていきます。農業機械の更新やハウスの修繕、アスファルト工事など、本年予定している設備投資の金額を入力します。このとき、工事が完成する月ではなく、「実際に代金を支払う月」に入力するのがポイントです。
リースで設備を導入する場合も、契約した月にリース総金額をマイナス(△)で記入します(※このままでは出金だけになってしまうため、必ず次のSTEP5とセットで入力します)。
また、前回の資金繰り表の説明でお伝えした「機械更新積立金」や、将来への備えとして別口座に積み立てるお金なども、この項目に入れましょう。
こうした投資や積立は大きな出費となります。あらかじめ表に入れて「いつ、いくら出ていくか」を家族で共有しておくことが大事です。下図の経常利益の下に、投資(E)という行を作って入力します。
STEP5 お金の借入・返済を入力する(財務)
投資のさらに下の行には、お金の借入と返済を入力します。 お金を借りた時(収入)はプラスで入力します。たいていの場合、大きな設備投資とセットで金融機関からお金を借りるかと思います。 また、STEP4でリース契約の総額をマイナス入力した場合、この借入の項目に同額を「プラス」で入力します。リース会社にお金を立て替えてもらった(借りた)という扱いにすることで、契約月の入出金を相殺します。 「事業主借」という項目は、資金繰りが厳しくなった時に、事業主個人の別口座(へそくりや、親族から借りたお金など)から事業用口座へ入金するための項目です。
借りたお金は返済しなければなりませんので、次に資金返済の項目を入力します。金融機関やリース業者から返済予定表をもらっているはずですので、その計画に沿って(毎月のリース料なども)マイナス(△)で入力します。 この表では1行しかありませんが、借りた案件ごとに返済計画をもらうはずですので、1行ずつ増やして入力していきましょう。別のシートでまとめておいて、この資金繰り表には返済合計だけを入力するのも手です。
稲作主体の東北では、収穫後の11月・12月に年1回払いで返済するケースが多いです。園芸主体の高知県では、年4回払いなどが多いかと思います。返済する月に、返済計画どおりの具体的な数字で返済金額を入れておくことが大切です。
STEP6 当月の収支と月末の残高予測を確認する
「当月の収支」の行には、経常利益、投資、財務(借入・返済)の合計が出る計算式を入れます。農作物の収穫時期による収入の波と、投資や返済のタイミングによって、月の収支が大きく変動するのが農業経営の資金繰りです。
この「当月の収支」と、STEP1で入れた「期首の預金残高」を合計したものが、「月末の預金残高(予測)」となります。そして、この月末残高が、翌月の期首残高へとジャンプ(繰り越し)していきます。
最後に、1年先の資金繰り表の例です。 これを参考に、我が家の資金繰り表を作成してみましょう。 次回は、資金繰り表の活用方法について解説していきます。
以上
☆画像として貼り付けている表を、Excelでダウンロードできます。








