皆様、毎日のお仕事や日々の事務作業、本当にお疲れ様です。確定申告に向けた準備を進めている方も多いかと思います。前回は損益計算書の仕上げ方について解説しましたが、今回はその後に行う「貸借対照表の科目をきれいにする」作業について解説していきます。
貸借対照表の科目をきれいにする
決算書を仕上げる際、損益計算書のチェックが終わりましたら、貸借対照表の勘定科目の額が合っているか確認していきます。具体的な確認手順について解説していきましょう。
(1)現金・預金残高を合わせる
最初にやっていただきたいことは、現金と普通預金の残高を実際の金額と合わせることです。
普通預金は、毎月の実際の通帳残高と会計ソフトの残高を、年度末までしっかりと合わせていきましょう。根拠資料などがないものや不明なものは、仮払金や仮受金で入力しておき、いったん実際の通帳残高と合わせておきます。仮払金と仮受金は、決算書が確定するまでには調べて正しい勘定科目を入力し、消すようにしてください。
(2)経過勘定科目を整理する
実際の取引が現金取引であればよいのですが、実務上は掛で購入する(後で支払う)、あるいは売上を計上した後に遅れて入金されることがほとんどです。このときに使用するのが「経過勘定科目」です。
たとえば、次のようなケースです。
- ●4/1 肥料を購入:肥料費(借方)10,000円 / 買掛金(貸方)10,000円
- ●5/30 支払:買掛金(借方)10,000円 / 普通預金(貸方)10,000円
この「買掛金」を経過勘定といいます。特にクレジットカードなどは、購入したタイミングと普通預金から引き落とされるタイミングが2か月から3か月ほどずれます。1年の間に購入したものは必ず支払うはずですから、基本的には上記のように借方と貸方で相殺され、期末残高には残らないはずです。
この経過勘定が、きれいに相殺されているかをチェックします。意外と入力ミスなどで、「支払ったはずの8/30の買掛金20,000円が残っている」「借方と貸方を反対に入力してしまった」といったケースがあります。正しく相殺されているかを確認していきましょう。
最後に、期末近くに購入した(あるいは売り上げた)ものは決算の後に支払う(または入金される)ため、残高に正しく残っているか、そして年度明けにその金額が正しく相殺されているかを確認します。
貸借対照表の「貸方」で主要な経過勘定は以下のとおりです。
| 主な経過勘定 | 内容 |
|---|---|
| 買掛金 | 仕入や材料費を掛で購入した時に使う |
| 未払金 | 上記以外で購入した時に使う(修繕費など) |
| 未払費用 | 電気代や人件費など継続的に支払う時に使う |
| 預り金 | 給与支払い時に預かった源泉所得税など |
| 前受金 | お米など納品する前に入金された場合に使う |
| 仮受金 | 入金されたが根拠資料がないときに仮に入力しておく(期末までに0にする) |
貸借対照表の「借方」で使うものは以下のとおりです。
| 主な経過勘定 | 内容 |
|---|---|
| 売掛金 | 請求書を発行した(または出荷した)後に未入金のもの |
| 前払費用 | 家賃や地代で先に払う時に使う |
| 立替金 | 従業員や取引先が支払うもの(運賃等)を立替えた場合 |
| 未収入金 | 補助金など後から入金されるもの |
| 仮払金 | 期中に根拠資料がない出金など(年度末までに相殺する) |
全国農業会議所が発行している『農業法人の会計・税務 ハンドブック』という書籍には、農業に関係するさまざまな科目が解説されており、筆者も辞書代わりに使っております。
(3)補助科目を活用する
筆者は酪農の記帳代行を数社担当しておりますが、各勘定科目の補助科目を設定し、そこに取引先名を入れるようにしています。以下のようなイメージです。
- ●買掛金(補助科目:JA土佐くろしお 営農経済センターふれあい)
この補助科目は、近くのホームセンターからコンビニ、資材屋さんまで、すべての取引先名を作成します。「そんな面倒くさいこと、やってられない」と思うかもしれませんが、入力時に補助科目を選択しておくと、後で間違い探しをするときにとても便利です。
何よりも、キレイに補助科目が0円になっているのを見ると爽快です。さらに言えば、この数字をきれいに整えることこそが、ご家族で正しい経営の現在地を共有し、未来を語り合うための第一歩となります。
1年間の取引を入力しているとかなりの仕訳件数になりますが、自分の入力が正しいか不安なまま進め、後でチェック作業に苦労することが多いかと思います。「急がば回れ」ということわざがあるとおり、入力時にわずかに手間をかけて補助科目を選択しておくだけで、入力の不安が消え、後できれいに数字を合わせることもでき、整理された決算書を作ることができます。結果的に自分が楽になると考えて、筆者の会社ではこの方法で入力を行っております。
(4)借入金残高等を合わせる
長期に借りた借入金や、リースで購入した資産(長期未払金)については、金融機関からの返済計画表があるはずです。その資料にある年度末の残高と、貸借対照表の残高が一致しているか確認します。意外と、利息を間違えて元金として入力しているなどのミスもありますので、最後に必ず確認しましょう。
(5)棚卸を確認する
前回の損益計算書でも説明しましたが、年度末の時点で納屋に残っている材料費などの在庫が、正しく棚卸計上されているか確認しましょう。仕掛品(未収穫の畑にある棚卸)も同様です。
(6)減価償却資産を確認する
農業機械やハウス、建物、舗装など、大きな買い物をした場合、資産登録を行います(前回参照)。金額によって資産登録の仕方が異なるため、確認していきましょう。
青色申告の申請をした方の資産登録は以下のとおりになります。
| 項目 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 少額資産 | 10万円未満 | 損金 |
| 一括償却資産 | 20万円未満 | 3年間で均等償却する。残存0。償却資産税がかからない(一般的にはこれを選択する) |
| 即時償却資産 | 30万円未満 | 年間300万円までその年で経費に落とせるが、償却資産税がかかる。 |
| 償却資産 | 30万円以上 | 国税庁の耐用年数に基づいて償却する。償却資産税の申告が必要(毎年1月に市町村に申告) |
チェックリスト(参考)
参考までに、決算書作成のチェックリストを以下の通り作成いたしました。ご活用ください。
【ワンポイントアドバイス:消費税の処理について】
チェックリストにある「仮受・仮払消費税」は、税抜会計で記帳している方のみ確認が必要な項目です。決算の際にこの2つを相殺(精算)して、必ず残高を「0」にしてください。
一方、多くの農家さんが採用している税込会計(免税事業者や簡易課税の方など)の場合、消費税の中間納付を支払った時は、経費である「租税公課」として入力するため、貸借対照表に仮払消費税は出てきません。税込会計の方は、この項目は気にせず読み飛ばしていただいて大丈夫です!
チェックリストを確認して、決算書が仕上がった時は何とも言えない達成感があるかと思います。
以上








