第22回
「作業の振り返りの仕方」

今回は、作業の振り返りの仕方について解説します。繁忙期はどうしても現場作業に追われて、家族やスタッフと作業の振り返りをする時間がないかと思います。筆者はコンサルタントとして、支援先の繁忙期が終わると、家族だけではなくスタッフも集めて作業の振り返りを実施します。

1. 目的は「反省会」ではなく「ノウハウの見える化」

振り返りというと、「誰のせいで失敗したか」という犯人探しや反省会をイメージしがちですが、それが目的ではありません。特に家族経営の場合、失敗を追及しすぎると喧嘩になりやすいため、「何か問題があったか?」を確認できれば、それだけで目的の半分は達成しています。 本当に大切な目的は、「毎年うまくいっていること」の裏にある「ベテランの無意識のノウハウ」を発掘し、チーム全体で見える化することです。日々の「作業」を議題にすることは、普段皆さんの体に染みついているからこそ活発に意見が出やすく、次年度に向けた前向きな話し合いへと繋がっていきます。

2. 現場の作業を書き出し「見える化」する

それでは、無意識のノウハウを発掘するための手順を紹介します。 最初にやることは、下図のように、縦軸に作業の項目をなるべく時系列に書き出すことです(育苗、定植、芽かき、誘引、ホルモン剤処理、防除、摘果、収穫、選別など)。 大項目の横には、さらに詳細な中項目の作業を書き出します。家族やベテランのパートほど、無意識にいろいろな作業をやっていますが、改めてテーブルの上に書き出すことで業務が明確になります。さらに、中項目の横に主な担当者を記入していきます。

大項目 中項目 担当者 7/上 7/中 7/下 8/上 8/中
育苗 苗床整備 ○○
播種 ○○
水やり ○○
 
定植 土つくり
暗渠整備
定植 ○○
 

※作業と時期は仮で書いております。

役割を書くことで、スタッフに任せている作業と、家族が中心で社員には任せていない作業などが明らかになっていきます。

次に、作業時期を色で塗りつぶし、作業の開始時期と終了時期を記載していきます。「その年によって作業が遅れた、早まった」など、会話がはずむはずです。そうした本年の特記事項を、この表の下にメモしていきます。

こうして家族とスタッフでこの表を完成させていくと、「繁忙期に何があったか?」「自分以外の担当者は何をしていたか?」という農園全体のスケジュールを全員で共有することができます。

3. 表をもとに「無意識のノウハウ」を発掘する

繁忙期の作業の全体像(スケジュール表)が見えてきたら、いよいよ作業ごとの話し合いです。天候による生育状況の変化、病気の発生、人手不足など、気づいたことをスケジュールの下に書き出していきます。繁忙期が終わってすぐのタイミングだと皆さんの記憶も明確なので、意見が出やすいはずです。

そして、ここからが重要です。反省点だけでなく、「うまくいったこと」も必ず書き出してください。「毎年、苗つくりは失敗しない」など、うまくできていることほど、意識しなくても自然とできているものです。しかし、その裏には、お父さんの暗渠整備や土つくりなど土台となる作業が丁寧におこなわれていたり、病気の早期発見や早めの防除ができていたりと、重要な要素が隠れています。

表を見ながら、「なぜうまくいったのか?」と問いかけ、そうした「仕事のノウハウ」を発掘するようにしてほしいと思います。作業スケジュールと仕事のノウハウは別にして整理していくことがポイントです。

例えばお父さんのようなベテランは、大事な仕事のノウハウを家族やスタッフに改めて継承することなく、当たり前のように仕事をこなしています。この話し合いを通じて、「では来年は、スタッフもお父さんについて回りながらメモを残していこう」といった、ノウハウを次年度へどう引き継いでいくかの前向きな話し合いに繋がることが大事になっていきます。

4. おわりに

ミーティングは、会話のみでおこなう空中戦ではなく、テーブルの上で紙に書き出しながら話し合うことが大切です。可能であれば、筆者はホワイトボードの購入をお勧めしています。最近であれば、大きなモニターにパソコンを繋いで進めるのもいいでしょう。

皆さんの共通項目である現場の作業を洗い出し、作業の内容、役割、スケジュール、本年の特徴を明確にすることで、チームの一体感も出ていきます。

反省点は確認程度に留めて原因を追及しないこと。そして、うまくいっていることほど「なぜなのか?」と仕事のノウハウを聞き出すこと。これがミーティングを実りある、楽しいものにしていくコツです。

時間が経過すると振り返る熱も冷めてしまい、記憶も曖昧になりますので、なるべく繁忙期が終わった直後にすぐにおこないましょう。

以上