変化の先にある成長を信じて ~大切なパートナーである皆さまへ~

皆さま、ご機嫌いかがでしょうか?『元気な畑のごちそう』株式会社須崎青果 代表取締役の市川義人です。
いつも須崎青果のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

 

さて、本日は皆さまに、当社の経営に関わる非常に重要なお話を、私の率直な思いと共にお伝えしたく、筆を執りました。

 

ご存知の方も多いかと存じますが、この10月、全国の最低賃金が再び大幅に引き上げられます。近年の物価高騰などを背景に、引き上げ幅は過去最高水準となる見込みです。これは、社会全体で働き手の生活を守るための重要な動きである一方、私たちのような企業にとっては、経営のあり方を根本から見直さざるを得ない、極めて大きな変化です。

 

この状況を受け、誠に不本意ではございますが、当社も包装加工代や集荷運賃といった料金の値上げに踏み切らざるを得ない、という結論に至りました。

 

過去にも値上げに対し、一部の皆さまから「ただでさえ苦しいのに、これ以上負担を強いるのか」「困っている農家を助けるのが地元の企業の役割ではないのか」という、厳しいご意見を頂戴しておりました。

 

皆さまのお声の一つひとつを、私は重く受け止めております。資材費や燃料費の高騰に苦しむ皆様のお気持ちを思えば、当然のことです。可能であるならば、すべてのコスト増を当社で吸収し、皆様にご負担をおかけしないことこそが理想でしょう。

 

しかし、なぜ、それでもなお値上げをお願いしなければならないのか。その理由をご説明させてください。

 

皆さまからお預かりした青果物の集荷、選果、そして包装といった工程は、その大部分を「人」の力に頼っています。機械化を進めてはおりますが、繊細な青果物を扱う作業は、共に働く従業員たちの丁寧な手仕事なくしては成り立ちません。つまり、当社の経費の大部分は、人件費が占めているのが現状です。

 

今回の記録的な最低賃金の引き上げは、そのまま当社の運営コストに、これまでにない規模で跳ね返ってきます。このコスト増を吸収しようとすれば、会社の経営はあっという間に立ち行かなくなります。

 

会社が赤字に陥り、従業員に十分な給与も払えず、その生活を脅かすような事態は、経営者として絶対に避けなければなりません。彼らがいなければ、そもそも皆様の青果物を集荷し、市場へ届けるという私たちの最も重要な役割を果たすことさえできなくなってしまいます。

 

「農家の皆さんを助けるため」という言葉のもとで、共に働く仲間たちの犠牲の上に成り立つビジネスは、決して長続きしません。それは、未来への責任を放棄することに他ならないのです。

 

先日、ある物語について考える機会がありました。スーパーマンというヒーローの物語です。ジェームズ・ガン監督の最新作を観てきました。

 

彼はなぜ、多くの人々から愛されるのでしょうか。それは、彼が圧倒的な力ですべてを解決してくれるからだけではありません。

 

彼は、自分とは異なる世界に来た「エイリアン(異邦人)」です。彼は、自分の持つ強大な力に悩み、社会の中で孤独を感じながらも、絶えず「善き存在であろう」と努力し、もがき続けています。人々は、彼のそのひたむきな姿に心を打たれるのです。

 

私もまた、経営者として同じような思いを抱えています。

 

農家の皆さま、従業員、会社、そして地域社会という、それぞれ大切な存在の間で、常に最善の道を探し続けています。全員を無条件に救えるスーパーヒーローにはなれません。時には、一方から見れば「冷たい」と映るような、苦渋の決断を下さねばならないこともあります。

 

今回の料金値上げのお願いも、まさしくそうでした。皆さまを苦しめるために下した決断では断じてありません。須崎青果がこれからも地域のインフラとして健全に機能し、未来にわたって皆様と共に成長していくために、避けては通れない道だと信じ、下した決断です。

 

目先の痛みを伴うお願いであることは、重々承知しております。しかし、これが会社の基盤を強くし、従業員の生活を守り、ひいては高知県の農業全体の価値を守り抜く未来への投資となると、私は信じています。

 

皆様からの厳しいご意見から、目を背けるつもりはございません。これからも皆様のご意見を真摯に受け止めながら、共にこの困難な時代を乗り越えていく道を探りたいと願っています。

 

私たちの未来に向けた決断に、どうかご理解を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。